「エッチのときに彼が立たない……」と悩んでいる女性は少なくありません。「勃起不全(Erectile Dysfunction)」は、何らかの原因によってペニスが勃起しなくなってしまう、もしくは勃起状態を維持できない疾患です。男性の勃起はセックスでの挿入に欠かせないので、勃起しなくなるというのはカップルにとって大きな問題のように思えます。ぜひとも改善したいところですが、勃起不全はかなり複雑な問題で、根本的な原因によって治療法もさまざまです。そのため、EDに関する知識だけではなく、なぜペニスが勃起するのかというメカニズムについて知ることも、パートナーのEDを改善するために重要になります。
勃起の仕組み自体は、ペニスの組織が充血するという、とても単純なものです。しかし、勃起をもたらすメカニズムが複雑で、そこに心身のさまざまな要素が絡んできます。例えば、身体的および精神的に何らかの疾患を抱えていると、それだけで勃起しなくなってしまうこともあるのです。とはいえ、勃起不全は根本的な原因さえ分かれば、生活習慣や運動習慣などの変更で改善することは十分に可能です。そのためには、女性側の理解や協力も欠かせません。そこで本記事では、世界中のカップルを悩ませているED(Erectile Dysfunction)について、その原因や対処方法などについて徹底解説します。
目次
勃起不全(ED)とは
「勃起不全(Erectile Dysfunction)」とは、何らかの原因により、男性のペニスが勃起を達成もしくは維持できなくなる疾患です。EDというとお年寄りがなる病気のようなイメージがあるかもしれません。確かに年齢を重ねるほどEDのリスクは益すのですが、最近は20代や30代の若い男性でも、勃起不全になることが増えています。イギリスで行われた調査によれば、40歳以下の男性の4人に1人が、勃起障害で悩んで治療法を探し求めているようなのです。つまり、EDは今やすべての男性に関わりがある、重大な疾患だということ。(1)
男性が勃起不全気味になっている場合、男性本人はもちろん女性もとても気になりますよね。しかし、すぐに医師に相談するというのも気が引けますし、できれば自宅でEDのセルフチェックができれば便利です。実際のところEDは単純な疾患ではないため、EDの診断をセルフチェックで行うことについて医師は推奨していません。とはいえ、迅速かつ手軽に結果を知りたいカップルにとって、それでは困りますよね。そのため、EDのセルフチェックとして「SHIM(Sexual Health Inventory for Men)」が有名です。(2)(3)(4)
SHIMでは5つの設問について、5個~6個の選択肢から選んで答えるだけなので、とても簡単に自己診断を行うことができます。具体的な質問としては、勃起力にどれほど自信があるか、どれくらい硬く勃起できるか、また男性自身のセックスの満足度などです。これらの設問にすべて答えた後、選択肢の合計点数を計算しましょう。その数値が21以下の場合はEDの可能性があり、医師への相談が必要だとされています。自己診断は下記のサイトで簡単に行えるので、ぜひ試してみましょう。
https://www.nature.com/articles/3901327/tables/1
パートナーに勃起不全(ED)の兆候が見られなければ、それはカップルにとって素晴らしいことです。しかし、前述したように勃起不全は年齢を重ねるごとにリスクが高まりますし、体調や精神状態などの変化によって、突然EDを発症してしまうこともあります。そのときにパートナーである女性がEDについて知っている場合は、そうでない場合に比べて男性も心強く感じやすいでしょう。そのため、下記の3つの観点について、勃起不全について詳しく知っておくことは大切です。
・勃起の仕組み
・勃起不全の原因
・特定対象へのED
勃起不全の原因や対策法に関する知識を深めるためには、そもそも勃起とはどういう現象なのかについて知っておく必要があります。なぜなら、勃起の仕組みについて知っておくことで、勃起不全の原因も分かりやすくなるからです。また、残念ながら特定の対象、つまり現在の恋人や妻に対してだけEDになってしまうこともあるので、男性のED改善のためには女性側の協力も欠かせません。上記3つの項目について、重要なポイントを詳しく見ていきましょう。
勃起の仕組み
そもそも勃起とはどういう仕組みで起きるのか、不思議に思ったことはないでしょうか。男性のペニスは性的興奮や刺激が加わると、ムクムクと大きくなっていきますよね。勃起とは陰茎が太く長く、そして硬くなる現象のこと。陰茎が勃起をする理由は、性交渉を可能にするためです。陰茎は通常の状態では柔らかく小さいものですが、そのままでは当然膣内に挿入することはできません。ペニスが大きく硬くなって前方へ突き出すことで、ヴァギナに挿入して性交渉を行うことができるのです。
勃起はペニスが充血することで起こります。陰茎は「海綿体」と呼ばれる組織で構成されていますが、この海綿体は水分をよく吸収して膨張することが特徴。性的な刺激や興奮を受けたとき、ペニス内部に血液が流れ込み、海綿体組織が膨張することによって勃起状態となるのです。この点だけを見ると、勃起は単純な仕組みのように思えるかも知れませんね。しかし、ペニスに血液が流れ込むようになるまでのメカニズムが複雑で、多くの場合はここに問題が生じて勃起不全になってしまいます。
実は、陰茎はいつでも自由に勃起できるわけではないのです。平常時はペニスにつながる血管や筋肉は収縮しているため、大量の血液が流れ込むことはありません。しかし、ペニスが性的な刺激を受けたり、精神的に興奮したりすると、脳の勃起中枢という器官が反応して、その情報が神経から陰茎へ伝わります。その結果、血管を拡張させる「一酸化窒素(NO)」という物質が、大量に放出されることがポイントです。一酸化窒素はペニスの動脈や筋肉を弛緩させて、大量の血液を送り届ける準備を整えます。
いわば一酸化窒素という鍵によって、門番が扉を開くような感じだと言えるでしょう。こうなると、血液が海綿体へどんどん流れ込んでいき、ペニスはどんどん大きくなっていきます。しかし、血液は動脈から入って静脈へ出て行くものです。そのままだと、せっかく血液をたくさん送り込んでも、反対側から出て行くので意味がありませんよね。そこで威力を発揮するのが、最後の仕掛けなのです。ペニスがある程度のところまで勃起すると、海綿体を包む繊維がパンパンに膨れて、それが陰茎の静脈を圧迫します。ダムに水をどんどん流してせき止めるような感じですね。
言い換えれば、ダムをせき止める力が弱ければ、水を充分に溜めた状態にすることはできません。性交の途中で勃起状態が解けるいわゆる「中折れ」は、静脈を圧迫して血液を滞留させる力が、弱くなっていることが原因だと考えられています。また、前述した一酸化窒素に血管の拡張作用があるのは、これにより体内で「環状グアノシン一リン酸(cGMP)」が増加するためです。しかし、海綿体内部にはcGMPを分解してしまう「ホスホジエステラーゼ5(PDE5)」という酵素も、豊富に存在しています。これらの点を踏まえて、勃起不全の原因を探っていきましょう。
勃起不全の原因
勃起が起こるメカニズムについて詳しく見てきました。ペニスが勃起する仕組みを大まかに知った後は、いよいよ男性が勃起不全(ED)になってしまう原因について、解明していきましょう。ただし、勃起不全は非常にデリケートな問題、特に男性自身にとっては「レゾンデートル(存在意義)」に関わるような事案なので、軽々に判断を下すわけにはいきません。あくまでこのような原因が考えられるという「可能性」の話として、次の6つの原因について探っていきましょう。
- 血管の疾患
- 神経の疾患
- ホルモンの乱れ
- 投薬治療の影響
- 精神の疾患
- 心理的問題
上記6つが勃起不全の主要な原因だと考えられています。しかし、いずれの場合も可能性の問題なので、一般人がこれだという原因を特定することは困難です。詳細については後述しますが、EDの背景には身体的および精神的な疾患が隠れていることもあり、できるだけ医師の正確な診断を受けることが望まれます。とはいえ、あらかじめ原因について知っておけば対策も取りやすいので、詳細に移る前にまずはそれぞれの概要を確認しておきましょう。
EDの背景には身体的な疾患があることは少なくありません。特に、動脈硬化のような血管の疾患は、血流を大幅に悪化させるためペニスへの血流も悪くなります。そのため、勃起時に充分な血液がペニスに流れなくなり、勃起を達成および維持することが困難になるのです。動脈硬化の主要な原因は、高血圧や肥満、糖尿病や喫煙習慣だと考えられています。特に、糖尿病はペニスの神経自体を損傷させてしまうこともあるため、その悪影響は計り知れません。こうした陰茎の神経の機能低下も、EDの主要な原因のひとつです。
ホルモンバランスの乱れも勃起不全をもたらします。勃起には「テストステロン」というホルモンの働きが欠かせません。テストステロンは男性ホルモンの一種で、男らしさや性的能力を作り出す働きがあります。テストステロンは40代以降になると分泌量が低下していき、年齢を重ねるほどEDのリスクが高まるというのはこのためです。しかし、最近は20代や30代の若い男性でもホルモンバランスが乱れがちになっています。その他の投薬治療や精神疾患、心理的問題についてはデリケートな分野なので、後ほど改めて詳細を見ていきましょう。
妻だけEDもある
実は、勃起不全(ED)はすべての女性に対してではなく、特定の女性とセックスをするときだけ起きることもあります。特に、結婚してからしばらく経過した男性は、妻に対してだけEDになる「妻だけED」を発症させてしまうことがあり、問題となっているようです。これはいわゆる心因性EDの一種ではありますが、状況が限定されているため特殊なタイプだと言えるでしょう。妻だけEDの原因は主に心理状態にあり、「セックスのマンネリ化」と「パートナーの家族化」が考えられます。
1つ目の原因として考えるのはセックスのマンネリ化です。心から愛し合っているカップルでも、情熱的なセックスを永遠に続けられるわけではありません。同じ相手とずっとセックスを続けていると、肉体的および精神的な興奮はどうしても以前ほど高まらなくなります。これはカップルのどちらかが悪いという問題では決してなく、人間の欲望が本来そういうものなのだから仕方ありません。何よりも、セックスの内容がパターン化してきて、ルーティーンワークのようになってしまうことが大きな問題なのです。
また、妻との生活が長くなるにつれて、妻を「女性」や「性の対象」としてではなく「家族」として見なすようになることも、妻だけEDの2つ目の原因だと考えられます。こうした変化は必ずしも悪いものではありませんが、セックスに関しては好ましくないでしょう。なぜなら、私たちの本能は「家族」に対して、性的欲望を抱くことはないようにできているからです。生物の本能として、いわゆる「近親交配」は避けるべきものだという意識があります。特定の女性とずっと長く生活することで、妻は家族であり、性的な対象ではないという意識が深くなっていくのでしょう。
こういった妻だけEDを解消するためには、セックスセラピーを受けることが効果的です。ただ、セラピーを受けたからといって問題が解決するわけではないので、行動が必ず必要になります。以前のような熱い愛の時間を楽しめるように、セックスのやり方を変えてみましょう。新しい体位やシチュエーションを取り入れることはもちろん、セックストイの導入はとても効果的です。おそらくセックスセラピーにおいても、こうした方法による改善が推奨されることになるでしょう。
4つの種類に分けられる勃起不全
先ほどはEDの原因について簡単に見てきましたが、複数のものがあるのでまとまりがなく、分かりづらく感じたかもしれません。こういった理由から、勃起不全は4つのタイプに分けられることが一般的になっています。勃起不全は心因性のものが有名ですが、前述したように勃起の機能はさまざまな要素の影響を受けるため、他のタイプについて知っておくことも重要です。勃起不全の原因について、次の4タイプに分類して探っていきましょう。
- 心因性
- 器質性
- 混合性
- 薬剤性
それぞれのタイプに応じて、原因や対処法も異なります。心因性EDは、精神的な疾患や心理的要因によって発症するタイプです。器質性EDは身体的な疾患による勃起不全で、加齢や高血圧、肥満などの生活習慣病や喫煙もこのタイプに該当します。混合性EDは心因性と器質性が複合していて、肉体と精神双方の問題から発症するタイプです。特に中高年男性はこちらに該当する人はかなり多いでしょう。また、疾患の投薬治療によって勃起不全になるという、薬剤性EDもあります。
心因性
「心因性ED」は勃起不全の中でも、最も多いタイプだといわれています。身体的な問題から生じる機能不全はありませんが、何らかの心理的状態が作用して勃起機能に悪影響が出てしまうのです。心理的状態とは、主に社会生活における過度のストレスやプレッシャー、もしくは性行為に関するトラウマの経験など、多種多様なものが考えられます。こういった精神状態にある場合は、性器や五感に対する性的刺激が神経に上手く伝わらず、勃起中枢がペニスを勃起させる作用が阻害されてしまうのです。
冒頭でご紹介したように、勃起の背景には非常に複雑なメカニズムがあります。特に、性的刺激によってペニスの血管を拡張させる行程には、神経系の働きが極めて重要です。しかし、過度なストレスやトラウマによって精神的に緊張状態にあると、そうした機能が作用しなくなってしまいます。しかも、そうしたことが原因で勃起できないことが増えると、彼の男性としての自信も失われてしまうことに繋がりかねません。それがさらなるストレスやプレッシャーとなり、症状が余計に悪化してしまう悪循環に陥ることもあります。
心因性EDを改善するためには、そもそもの根本的な要因であるストレスやプレッシャーを、取り除いていくことが重要です。心因性EDは最も一般的な勃起不全のタイプではありますが、根本的な原因の特定や治療が難しいタイプでもあります。もちろん、医師の診断やカウンセリングを受けたり、ED治療薬による投薬治療を受けたりすることで、心因性EDが改善することもあるでしょう。特に、ストレスやプレッシャーだけが原因なのであれば、ED治療薬で自信を取り戻せることにより、症状が改善することは多いです。
しかし、それでも一向に改善されない場合は、精神科医による診断や治療が必要になってきます。特に、男性と出会ったときからEDを発症している場合は、すでに長期的に勃起不全を抱えているということです。この場合は、過去に性行為を行ったときに相当のトラウマ(心的外傷)を受けたか、性的虐待など極めて深刻な問題が背景にあることもあります。そのため、いくつかのED改善法を試してみても上手くいかない場合は、専門医の診断を必ず受けるようにしましょう。
器質性
「器質性ED」は身体機能に何らかの異常もしくは障害があり、勃起能力に問題が出ているタイプです。器質性EDにも複数の種類があり、正確に分類するのが困難なこともあります。生活習慣病などの疾患で血管や血流に問題が起きていたり、手術や外傷によって神経に障害が起きたり、器質性タイプの原因は様々です。残念ながら、後者の神経に損傷があるタイプの勃起障害は、勃起の機能自体が失われてしまっている可能性があるため、ED治療薬を服用したとしても改善は困難だと考えられています。糖尿病によって神経に障害が出てしまっている場合も、他の生活習慣病の場合とは違って治療が困難なこともあるので注意が必要です。
一方で、生活習慣病による勃起障害の場合は、ED治療薬がよく効くことがほとんど。なせなら、このタイプの器質性EDは高血圧や高脂血症、もしくは喫煙や過度の飲酒による動脈硬化で、血流が悪化して勃起機能が低下しているからです。動脈硬化が発生すると、下半身への血流が部分的に塞がれる、もしくはほとんど流れなくなってしまうことがあります。当然のことながら陰茎への血流も悪化するので、勃起力が著しく低下するのです。ちなみに、動脈硬化症を患っている場合は、陰茎に血液をとどめる力が弱まって勃起を維持しづらくなるため、中折れしやすい傾向もあります。
ED治療薬の詳細については後述しますが、ED治療薬には血管を拡張させたり血液の流れを良くしたりする効果があります。そのため、生活習慣病が原因の器質性EDの場合は、投薬治療によって改善される可能性が高いのです。しかし、生活習慣病自体を治療しなければ、根本的な解決にはなりません。仮にED治療薬のおかげで一時的に勃起不全が改善したとしても、近いうちにまたEDの症状が出てしまうでしょう。そのため、このタイプの器質性EDを改善するためには、食事や運動などを含めた生活習慣の改善が望まれます。生活習慣の改善にはパートナーの協力も必要になってくるので、その点については後ほど詳しく見ていきましょう。
混合性
「混合性ED」は、「心因性」と「器質性」の要素が複合したタイプの勃起不全です。つまり、精神的なストレスを抱えていて、しかも動脈硬化および神経の障害を抱えている人は、この混合性EDに該当するということ。実は、勃起不全の患者を取り巻く現状を考えてみると、心因性と器質性のどちらか一方が原因だということは少ないのです。むしろ、混合性EDの方が多いのではないかと考えられています。混合性はかなり複雑なため、原因を特定するのが困難です。
混合性EDはどちらかというと高血圧や糖尿病、肝機能障害があることが原因で、心因性EDを抱えてしまうことが多いかもしれません。身体的な疾患への悩みがストレスとなって精神状態を悪化させて、心因性EDの原因になってしまうのです。しかし、慢性疾患があるからといって、必ずしも勃起不全になるとは限りません。この場合はED治療薬を服用すれば、勃起力が改善して自信を取り戻し、心因性EDの方が解消される可能性はあります。後は生活習慣を改善すれば、相当の改善が見込めるでしょう。
ただし、心因性EDの原因が複雑な場合は、やはり投薬治療だけでは改善が難しいかも知れません。ED治療薬によって器質性の勃起障害は改善できたとしても、心因性EDの方が残ってしまうからです。先ほど心因性の勃起不全の項目でご紹介したことと重なりますが、混合性EDであっても場合によっては精神科医の診断やカウンセリングが必要になります。混合性EDは複雑なので、後ほどご紹介する基本的な対処法で効果がなければ、早めに医師の診断を受ける方が良いでしょう。
薬剤性
「薬剤性ED」は、身体的および精神的な疾患を改善するための投薬治療により、勃起機能に支障が出ているタイプです。この薬剤性EDは症状によって3種類に分類されます。「勃起不全」「性欲減退」「射精障害」です。投薬による性欲減退や射精障害は、実は頻繁に起こっています。例えば、風邪を引いたときに性欲が減退するのは、もちろん体調が悪化して体力が低下していることも原因ですが、風邪薬の影響もあるのです。詳細は省きますが、風邪薬に含まれる解熱鎮痛剤は中枢神経に作用するため、勃起中枢や射精中枢にも影響が出ます。そのため、一時的な勃起不全になったり、早漏や遅漏など射精のタイミングに問題が生じたりするのです。
高血圧の治療で用いられる降圧剤、血管拡張剤や高脂血症用剤などは、循環器系に作用するため血流に影響が出て、勃起機能が低下することがあります。こうした薬剤の中でも最も影響が大きいのは、抗うつ薬や向精神薬でしょう。うつ病などの精神疾患を抱えている人は、勃起不全になる可能性が高いと考えられています。なぜなら、今回ご紹介した4つのタイプのすべてに、うつ病患者は当てはまるからです。その中でも、SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)を服用している場合は、特に勃起不全になるリスクが高まります。
SSRIは中枢神経に作用して「セロトニン」という神経伝達物質を増やすのですが、これは性的衝動やオーガズムに欠かせない「ドーパミン」の作用を抑制します。さらに、パキシルなどいくつかのSSRIは、射精も阻害する作用があるのです。つまり、SSRIを服用している人は、勃起不全と射精障害の両方を抱えてしまう可能性があるということ。しかし、だからといってSSRIやその他の抗うつ薬の服用を自己判断で中断すると、精神状態が急激に悪化する危険性があるので絶対に止めてください。
抗うつ薬によるEDは既知の問題なので、医師に相談してQOL(人生の質)に影響すると判断されれば、薬の種類を変えてもらうことは十分に可能です。ただ、精神疾患の症状によっては、どうしても薬を変更できない場合があります。その場合は、後述するヴァイアグラなどの「PDE5阻害薬」の服用を、検討する必要があるでしょう。ただし、服用中の向精神薬によってはPDE5との食い合わせ(相性)が悪いこともあるので、やはり精神科の主治医に相談することが大切になります。いずれにせよ、精神疾患由来のEDは根本原因の治療が最優先なので、まずは精神状態を恢復させることが重要です。
勃起不全は正しい治療で改善できる
勃起不全の4タイプすべての原因について詳しく見てきましたが、とても複雑でよく分からなくなってしまったかもしれませんね。実際に、勃起不全は複数の要因が絡み合っていることが多く、はっきりとこれだと言えるような原因を突き止めるのは難しいことがほとんどです。そのため、勃起不全は気合いでなんとか治そうとしても、なかなか治せるものではありません。だからこそ、以下5つのような基本的な対処法が、大きな効果的を発揮することは多いのです。
- パートナーの協力
- 血流の改善を目指す
- 運動不足を解消する
- 栄養バランスを改善する
- 医師の管理下での投薬治療
勃起不全の根本原因自体は複雑ですが、EDを解消もしくは改善するために必要なことは、意外と簡単なものになります。つまり、血流を改善してペニスに血管が流れやすい状態にすれば、勃起不全も自然と改善されていくのです。そのためには、運動習慣や食生活の見直しが必要ですが、その際にはパートナーの理解や改善が欠かせません。生活習慣の改善を図ることで、勃起不全の症状を軽減できる可能性は十分にあります。ただし、それでも改善できない場合は、やはり医師の診断が必要になるでしょう。
勃起不全の改善はパートナーの協力が不可欠
勃起不全の改善は、ひとりだけではなかなか成功させることができません。なぜなら、カップル双方がEDと向き合っていかなければ、カップルの関係そのものが破綻してしまう可能性があるからです。男性が勃起不全を抱えていることは、多くの場合で女性にとって腹立たしいことになります。女性にもしっかりとした性欲はありますが、男性がEDであるためにそうした欲望を解消することができないと、考えてしまうからです。その結果、カップルの距離が離れてしまうこともあります。
前述したように、勃起機能は精神状態の影響も強く受けます。カップルの関係が悪化して女性が離れていってしまうのは、男性にとって大きなショックとなり、そのストレスでEDがなおさら悪化してしまうでしょう。しかし、そのような負の連鎖を招く必要はないのです。勃起不全は誰のせいでもなく、病気なのだということを忘れないでください。カップルでしっかりコミュニケーションをとって不安や悩みを共有すれば、心の絆を保つことはできるはずです。ふたりでやるのが難しければ、セックスセラピーやカウンセリングなどを受けてみるのも良いでしょう。
また、カップルで愛を深めるための手段は、セックスだけではないということを理解することも、男性がEDを改善するためには必要です。この点は極めて重要なので後ほど改めて解説しますが、セックスはペニスを挿入するだけではなく、キスや包容、オーラルセックスという行為も立派な性行為になります。ペニスの代わりに彼にセックストイを使ってみれば、女性の性欲を満たすことも十分に可能となるでしょう。このように、様々な工夫をこらすことで、カップルで一緒に問題を乗り越えることができるはずです。
血流の改善が鍵
カップルで一緒に彼のEDと向き合っていくことを決めた後は、実際に対応策を講じてEDの症状を改善していきます。症状改善のために最も重要なのは「血流」の状態です。冒頭でご紹介したように、ペニスが勃起するためには、たくさんの血液が陰茎内部に流れ込む必要があります。しかし、生活習慣病による動脈硬化や高血圧などが原因で、血液がドロドロになっていたり血圧が不安定だったりすると、血流が悪くなってしまうのです。血流が悪化すると、当然ペニスに十分な血液が流れなくなり、勃起しづらくなってしまいます。
つまり、勃起力を取り戻すためには、何よりも血管の健康を取り戻すことが大切だということです。血管が健康になれば血流が良くなるので、勃起不全の症状も改善されるでしょう。ただし、怪我や手術もしくは糖尿病の重症化などにより、陰茎の神経自体が損傷している場合は血流を良くしても、EDが改善しないことがあります。とはいえそのような深刻な状態になっていることは珍しいケースなので、とにかく血流の改善にチャレンジしてみるのは極めて有意義なことです。血流の改善に重要なことは、運動不足の解消と食生活の改善になります。
運動不足を解消する
運動不足は血管を老化させて、EDを悪化させてしまう大きな原因になります。運動不足はペニスにも良くありませんが、何よりも健康に甚大な悪影響を与えてしまうリスク要因です。運動不足による悪影響はまず体組織に現れ、体脂肪が増えて筋肉量が低下します。その影響で肥満体型になり、高血圧や高脂血症、糖尿病など重大な疾患の原因になってしまうのです。このような疾患は抱えていなくても、運動不足の生活習慣は血流を確実に悪化させます。特に現代人は身体を動かすことが減っているため、運動不足に陥ってしまいやすいと言えるでしょう。
運動不足を解消するためには、もちろん運動習慣を身につける必要があります。運動といっても、激しいスポーツやトレーニングなどを行う必要はありません。ウォーキングやジョギングなどの軽い運動や、エアロバイクやサイクリングなどの有酸素運動で十分な効果を得ることができます。ちなみに、サドルに跨がるタイプの運動はEDに悪いと言われていますが、実際にはそれほど気にする必要はありません。それよりも、サイクリングなどによる運動効果の方が、デメリットよりも遥かに大きいのです。
また、ペニスの血流には下半身の筋肉が大きく影響しているため、スクワットのような下半身のトレーニングは非常に効果的です。ただし、高強度のウエイトトレーニングは身体を痛める恐れがあるので、ウエイトを使わない自重トレーニングでも構いません。こうした運動やトレーニングは、カップルで一緒に取り組めるのも大きなメリットです。もし彼にEDの改善法を提案しづらいのであれば、健康のためという理由を付けて運動に誘ってみると良いでしょう。上手くいけば彼自身が意識しないうちにEDが改善されて、驚かすことができるかもしれませんよ。
栄養バランスの良い食生活を心掛けて
勃起不全を改善するためには、適度な運動習慣と同時に、バランスの良い食生活を心掛けることも必要になります。なぜなら、栄養バランスを整えることによって、血管の状態も改善できるからです。私たちの身体は、普段の食事から摂取したもので構成されています。身体の健康は食事によって保つと言っても、決して過言ではないでしょう。現代人が特に不足しやすい栄養素は、亜鉛やマグネシウムなどのミネラル、良質なタンパク質やビタミンです。
理想的な食生活は、高タンパクかつ低脂質で、ビタミンやミネラルが豊富なものです。糖質(炭水化物)については、多すぎても少なすぎても良くないので、適量を摂取するようにするのがベストです。こういった食生活を実現するためには、基本的には牛肉や豚肉のような脂質の高い肉類を控えて、魚介類や鶏肉などヘルシーかつ高タンパクな食品を摂取するのが効果的だと言われています。ビタミンは野菜類や果物に豊富なので、積極的に摂取するようにしましょう。タンパク質やミネラルは動物性食品に多く含まれていますが、脂質が多くなりすぎないように食品を選定することが大切です。
亜鉛は男性機能に極めて重要な栄養素です。実際に、勃起不全の患者に亜鉛を経口摂取させたところ、症状が有意に改善したというデータもあるほどなので、その効果は高いと言えるでしょう。亜鉛はテストステロンの分泌量を左右するので、亜鉛の摂取量が多ければ勃起力も高まるものと考えられます。ただし、食品から豊富な亜鉛を取り入れるのは難しいので、サプリメントを適量摂取するのがおすすめです。1日20mg~30mgであれば問題ありませんが、過剰摂取はいけません。ちなみに、脂質を減らしすぎるとホルモンバランスが乱れるので、食事の偏りには注意が必要です。
医師の管理下で投薬も有効
これまでご紹介した対策法は、基本的には勃起不全を改善する効果が高い対策方法です。しかし、あくまで自己判断で行うものなので、必ず効果を得られるというものではありません。前述したように勃起不全の原因は複雑なことが多いので、思ったような効果が得られないこともあるでしょう。また、これまでEDと向き合った経験がないカップルにとっては、どのような対策を取れば良いか分からないこともあります。そんな場合は、まず医師の診断を受けたうえで、医師の管理下で治療を受けて改善していくのもひとつの方法です。
医師による治療法は、基本的には投薬治療になります。ED治療薬というと、「ヴァイアグラ」を思い浮かべる人が多いでしょう。確かにヴァイアグラは最も有名なED治療薬ですが、実はその他の薬剤もあります。主流となっているED治療薬は「シルデナフィルクエン酸塩(ヴァイアグラ)」「バルデナフィル塩酸塩(レヴィトラ)」「タダラフィル(シアリス)」の3種類です。この中でヴァイアグラは最も古く、それだけに世界中で有効性が証明されているのですが、後発薬品と比べると多少副作用があります。とはいえ、どのED治療薬も効果が高く、重篤な副作用はありません。
ただし、心筋梗塞や狭心症など心血管疾患を抱えている人で、「ニトログリセリン」などの一酸化窒素供与薬を服用している場合は、ヴァイアグラなどのED治療薬を使用することはできません。なぜなら、ヴァイアグラはそもそもニトログリセリンに取って代わる予防薬を開発中に、副産物として偶然生まれたものだからです。ヴァイアグラとニトログリセリンを併用すると、血圧が急激に低下して重篤な副作用が出てしまいます。また、重度の肝機能障害がある場合も、ED治療薬を使用することは困難です。医師の診断を受けて投薬治療を受ける場合は、必ず既往症などについても報告しておきましょう。
ヴァイアグラなどのED治療薬がなぜ勃起不全に聞くのかというと、「PDE5阻害薬」としての効果があるからです。冒頭でも軽く触れましたが、性的刺激によって一酸化窒素が分泌されると、体内で「cGMP」という血管拡張作用のある物質が増加します。ただし、陰茎がいつまでも勃起するのは危険なため、陰茎内の細胞には勃起を阻害する「PDE5」もあるのです。ヴァイアグラなどのED治療薬に含まれている、「シルデナフィル」という物質がこのPDE5の作用を抑制します。PDE5が阻害されると勃起しやすくなると同時に持続力も高まるため、結果的に勃起不全を改善することができるのです。
勃起不全の彼を持つ女性の対応と心構え
勃起不全には様々なタイプや原因がありますが、基本的には食生活や運動習慣などを改善して、血流を向上させるための対処法を実践すれば、解決できることは多いと考えられます。とはいえ、パートナーが勃起不全を抱えているというのは、女性にとっても大きな負担になります。そのため、カップルで協力して彼の勃起不全と向き合うためには、次の5つの心構えを意識するようにしましょう。
- 自分の自信をなくさないように注意
- 彼にプレッシャーを与えないこと
- EDであることにイライラしない
- 彼と一緒に生活習慣改善していく
- 深刻な雰囲気にしないように要注意
男性の勃起不全は、女性のメンタルに影響を与えることもあります。なぜなら、パートナーが勃起できないのは、自分に原因があるように感じることがあるからです。また、彼のEDにイライラしてしまうこともありますが、プレッシャーを与えてしまってはいけません。彼と一緒に生活習慣を改善することや、深刻な雰囲気にしてしまわないようにすることも、パートナーのEDを改善するために必要なことです。
自分の自信をなくすことにならないように
パートナーが勃起障害を抱えていると、女性自身の自信が喪失してしまうこともあります。なぜなら、男性が勃起しないのは自分に魅力がなかったり、愛されていなかったりするからではないか……という不安を感じてしまうからです。しかし、男性が勃起不全になってしまうのは、女性に原因があるわけではありません。もちろん男性のせいというわけでもありませんが、ほとんどは男性の心身つまり内面的な問題なのです。そのため、女性が自信を失う必要は全くない、ということを意識しましょう。
女性が自信をなくすと、男性の方も不安になってしまいます。自分のせいで女性が落ち込んでしまって、どうすれば良いのか分からない……と深く悩んでしまうでしょう。これではまさに悪循環で、カップルで一緒に落ち込んでしまうことになります。前述したように、男性が勃起不全を解消するためには、女性の理解や協力が欠かせません。カップルで一緒に勃起不全という問題を乗り越えるために、自信を失わないようにして、あくまでポジティヴな気持ちで向き合っていくようにしましょう。
彼にプレッシャーを与えないこと
パートナーと勃起不全に向き合って改善していくためには、彼にプレッシャーを与えてしまわないようにすることが大切です。彼が勃起しないということは、セックスで挿入して快感を満喫することができない、ということを意味します。そのため、どうしても物足りなさや苛立ちのようなものを、感じてしまうことがあるでしょう。しかし、女性のそうした不安や焦燥感のようなものは、男性にも必ず伝わってしまいます。それで男性がプレッシャーを感じると精神的に緊張して、彼の勃起不全が悪化してしまうかもしれません。
後ほど詳しくご紹介しますが、セックスは挿入行為だけではなく、愛情表現はセックスだけでもありません。彼が勃起不全のようだと感じたら、あまりプレッシャーを与えないように注意しましょう。例えば、彼を勃起させて挿入したいからといって、手や口で愛撫して無理やりに勃起させようとしてはいけません。勃起不全はそもそも勃起の機能自体が低下しているので、無理に立たせようとしたところで、勃起できることはまずないのです。挿入以外でセックスや愛情表現を楽しめるようにすることが大切になります。
EDであることにイライラしないように
彼が勃起不全を抱えていると、ついストレスが溜まったり、イライラしてしまったりすることがあります。女性にも性欲というものがあり、性欲が溜まってきたら発散させることが大切です。しかし、彼が勃起不全を抱えているとそれが困難になるので、欲求不満になってイライラしてしまうことがあるでしょう。自分が頑張って彼が気持ちよくなれるようにしようとしているのに、彼が全然反応しないと残念な気分になって、もどかしさや苛立ちを感じてしまいますよね。
しかし、そんなときでも「はあ……」とため息をついたり、「やっぱりダメなのね……」とガッカリするようなことを言ったりしないようにしましょう。勃起不全は本人の努力によって必ずしも改善できるものではなく、本人でもどうしようがない問題なのです。一番もどかしくてイライラしているのは彼自身なので、女性がストレスを溜めても仕方がないのです。パートナーに対してイライラするのではなく、そのエネルギーを彼と一緒に勃起不全を改善するために使っていきましょう。
彼と一緒に生活習慣改善していく
パートナーの勃起不全を改善するためには、彼と一緒に協力しながら生活習慣を改善していくことも大切になります。なぜなら、勃起不全は偏った食事や生活の習慣が由来していて、その結果として血流の悪化が起こっていることが多いからです。だからこそ生活習慣の改善が必要になるのですが、そこで彼ばかりが頑張っていては、なんだかカップルとしての雰囲気はあまり良くありませんよね。彼の方としても、ひとりで頑張るよりは、彼女も一緒に付き合ってくれる方が心強く、改善の効果も出やすいものです。
カップルは生活習慣も共にするものなので、男性が良くない生活習慣を送っているということは、女性の方にも健康に悪影響がある、もしくは将来的に大きな疾患に繋がってしまうかもしれません。男性の方も、今後さらに悪質な疾患、たとえば心筋梗塞や脳梗塞、糖尿病などを罹患してしまう可能性もあるでしょう。カップルで一緒に生活習慣を改善することは、将来的なリスクを軽減することにも繋がります。だからこそ、パートナーの勃起不全をきっかけに、カップルで一緒に問題に取り組むべきなのです。
前述したように、食習慣の改善のためには脂質を減らしてタンパク質を増やし、なおかつ亜鉛やマグネシウムなどのミネラルを積極的に摂取することが大切です。そのためには、牛肉や豚肉を控えて、鶏肉や野菜類、魚介類の摂取量を増やします。カップルの好みに応じて、彼と一緒にメニューやレシピを考えていきましょう。運動習慣も極めて重要ですが、こちらもカップルで一緒にジョギングに出掛けたり、ジムでトレーニングをしたりすると、運動効果もより高まるはずです。カップルで協力し合って、共に勃起不全を乗り越えましょう。
深刻な空気にしないこと
彼が勃起不全を抱えていると、カップルの雰囲気がどうしても深刻になってしまいます。男性はもちろんEDによって不安や悩み、焦燥感や怒りなどを感じていますし、女性の方でも欲求不満やストレスが高まってしまうものです。しかし、そういった雰囲気をそのままにしておくと、カップルの気分はどんどん深刻になっていってしまいます。重い空気に耐えられなくなると、カップルのどちらかが癒しの対象を他に求める……ということにもなりかねません。勃起不全はほとんどの場合、改善することができます。そのため、深刻な雰囲気にはならず前向きになって、彼と一緒にEDと向き合っていきましょう。
彼が勃起不全になると、セックスができなくなってしまったように感じて、もどかしさや苛立ちを感じてしまいますよね。しかし、愛を深める手段や快感を得られる手段は、セックスの挿入行為だけではありません。キスや包容はもちろん、一緒に何かを楽しんだり話したりするだけで、お互いの愛や絆を深めることは十分可能なのです。セックスで快感を得たいのであれば、彼にオーラルセックスをしてもらったり、セックストイを使ってもらったりすれば、通常のセックスと同じように快感を得ることができます。
彼が勃起しないからといって、セックスができないわけではありません。セックスは必ずしもペニスでするものではないのです。例えば、ディルドやペニスバンド(ストラップオンディルド)などを使うことで、ペニスの挿入と同じようにセックスを楽しむことができます。セックストイは常に使えるものなので、彼のEDが治った後もプレイの一環として楽しめるでしょう。少しの工夫でEDでもセックスを楽しめますし、愛や絆を深めることができます。そういった心のつながりを持つことが性生活はもちろん、カップルの生活全体を豊かにしてくれるのです。
まとめ
今回は、世界中のカップルを悩ませている勃起不全(ED)について、その原因や対処方法などについて解説しました。男性の陰茎は性的興奮によって脳が反応し、血管が拡張して陰茎に血液が流れ込むことで起こります。しかし、血管や神経の疾患、心理的要因や精神の疾患、疾患の投薬治療の副作用などによって、ペニスに血液を送り込む機能が低下すると、勃起機能が低下してEDになってしまうのです。勃起不全には「心因性」「器質性」「混合性」「薬剤性」の4つのタイプがあり、それぞれ異なる特性や原因があります。
心因性EDは、ストレスやトラウマ、精神の疾患によって発生します。器質性EDは血管や神経の疾患によるもので、混合性EDは心因性と器質性の両方の原因からなるタイプの勃起不全です。薬剤性EDは、身体的もしくは精神的な疾患の治療のための投薬により、勃起機能に問題が出てしまうタイプになります。いずれの場合でも、専門医の指導のもとで投薬治療などを行うのが最も効果的です。しかし、生活習慣や食生活を改善することによって、勃起不全の症状を緩和できることもあります。そのためには、女性側の協力が欠かせません。
勃起不全は基本的にペニスへの血流の悪化が大きな原因なので、運動不足を解消して栄養バランスを改善すれば、血流が良くなって症状の改善が見込めます。そのとき、男性がひとりで頑張るよりも、女性も一緒になって取り組んでくれる方が、改善効果もより高まるものです。女性の方でもEDに対してイライラしたり落ち込んだりすると、悪循環に陥ってしまいます。勃起不全は改善できる可能性の高いものです。セックスにおいてもセックストイを活用したり、日常的なキスやハグ、コミュニケーションなどを積極的に取ったりすることで愛を深めることができます。彼と一緒にポジティヴな気分で、勃起不全を改善していきましょう。